メソッド素材について

カワノメソッドで用いられるアイテム(製品)は、犬猫アトピー治療における重要な戦略的パートナーです。
カワノメソッドでは、豊富な臨床経験や科学的根拠に基づき、純度や濃度、品質や安全性が確認された様々な素材が使用されています。
それらの素材に対して、どのくらいの量で効果発現するのか、どのような形状が摂りやすくて効果が期待できるのか、吸収や持続時間を高めるためにどんな工夫が必要なのかなど、臨床現場での試行錯誤のうえで、より有用性が期待できる製品を選択、あるいは開発協力しています。

単に有効性が報告されている素材を配合すれば効果が期待できるというわけではありません。カワノメソッドが飼い主様から信頼されるのは、このような裏付けがあるからなのです。

川野印(カワノメソッド認証)」のアイテム(製品)だからこそ、「痒がる動物を1頭でも多く救いたい」という想いを実現することができるのです。

フラクトオリゴ糖(ケストース)

ケストースは、スクロースに1分子のフルクトースが結合した三糖のオリゴ糖で、タマネギやライ麦など、我々が日常的に摂取する野菜や果物にも少量ながら含まれている、安全性の高い糖質です。
ケストースは、砂糖によく似たまろやかな味質(甘味度:30)で、水への溶解性が高く、耐熱性にも優れることから食品加工時の利便性が高い食品素材です。
また、ケストースは難消化性を示し、経口摂取後は消化されることなく消化管下部へと輸送され腸内細菌により選択的に利用されるため、プレバイオティクスとなり得る条件を備えています。

<アトピー性皮膚炎に対する有用性>
アトピー性皮膚炎と診断された0~3歳の乳幼児30名を無作為に2群に分け、1日あたり1~2 gのケストースまたはマルトース (プラセボ) を継続的に摂取させ皮疹への影響を検討した。
プラセボ群では、試験期間中の皮疹スコアに変化は確認されなかったが、ケストース群の皮疹スコアは試験開始から6週間後および12週間後において減少した。
(Shibata R, Kimura M, et al., Clin Exp Allergy. 2009 Sep;39(9):1397-403.)

<犬アトピー性皮膚炎に対するケストースの効果>
ケストースがcAD症状の改善に与える影響について検討するためにケストースを1g/日にて継続的に摂取させ、cADの症状の変化を観察した。
ケストースの継続摂取(30日)における皮膚病変については、掻痒に伴う脱毛や落屑、腋窩部の苔癬化などの症状が改善し、結果としてcAD症状の改善がみられた。
モニターアンケートでは、「痩せすぎてなかなか増えなかった体重が徐々に増加した」「皮膚のべたつきが明らかに改善された。ケストースを中止したらベタつきが再燃し、ケストースの再開でベタつきが減った」「体臭や便臭が軽減した」「毛並みがよくなった」などの評価を得た。
cADの治療はステロイド剤が主流であるが、副作用が懸念され、痒みや炎症を抑制するのみの対症療法である。それに対してケストースは安全性・安定性の高い食品素材であることから、日常的な摂取が可能となり長期的な治療に対応できる、また腸内環境の改善により、増加した酪酸を介し、免疫細胞の正常化への効果が示唆されたことからcADの根本的治療になりうると考えれる。
(牧田,川野ら,月刊CAP,Jan,93-96,2021)

<ケストースの研究(整腸・免疫関係)>

分類 エビデンス 試験対象 掲載雑誌
整腸 便通改善 ヒト 製糖技術会誌
乳酸菌の増殖 ヒト、培養試験 nt J Food Sci Nutrなど
ビフィズス菌の増殖 ヒト、イヌ、ネコ、培養試験 Anaerobe など
酪酸産生菌の増殖 ヒト、培養試験 Gut Microbesなど
免疫 アトピー性皮膚炎の改善 ヒト、イヌ PediatrRes など
アレルギー性鼻炎の改善 ヒト アレルギーの臨床
食物アレルギーの耐性化サポート ヒト PediatrRes

乳酸菌(ラクトバチルスパラカゼイ)

ラクトバチルスパラカゼイ乳酸菌は、1904年にドイツのフロイテンライヒによって命名され、ラクトバチルス カゼイに分類されました。(「casei;カゼイ」とはラテン語でチーズを意味する言葉)その後、いくつかの変遷があり、2020年にラクトバチルス属細菌の分類再評価により、ラクチカゼイバチルス カゼイとラクチカゼイバチルス パラカゼイに再分類され、多くの菌株がパラカゼイに分類されました。
パラカゼイ菌は市販の発酵乳製品の製造にも多く使われており、整腸作用や免疫調節作用などの多様な有益な作用を有することが明らかにされている一方で、その作用メカニズムの解析も進んでおり、世界を代表するプロバイオティクスとして知られる菌株もあります。
ラクトバチルス・パラカゼイ乳酸菌には、シロタ株やKW3110株がよく知られており、後者はもともと小岩井乳業が保有していた乳酸菌ですが、Th1サイトカインを誘導する活性およびTh2サイトカインを抑制する活性が高く、アレルギー関連疾患の有効性が報告されている期待のプロバイオティクスの一つとされています。

<パラカゼイ菌による皮膚バリア機能にへの有用性>
アトピー性皮膚炎のリスクが高い59人に保湿剤を毎日32週間塗布したところ、保湿剤を投与した新生児は、非介入の新生児よりも湿疹が約32%も少なかったという結果になりました。
さらに、他の研究では乳酸菌であるパラカゼイ菌(ラクトバシルス・パラカゼイ)の摂取によって皮膚感受性と水分の喪失を抑え(TEWL低下)、バリア機能の回復率を増加させたと報告されています(Gueniche A et al.2014)

<乳酸菌マッチング検査に基づく犬アトピー性皮膚炎に対する細菌療法>
乳酸菌マッチング研鑽による有効な乳酸菌の探索及びシンバイオティックスにより治療介入したもので、来院した症例の中で、掻痒性皮膚疾患を除外し、Favrotの診断基準によりcADと診断した70症例の犬から採取した血液から抹消血単核球を抽出してELISA法にて6種類のプロバイオティクスをin vitroで反応させ、制御性T細胞から分泌され、単球系の免疫細胞に作用することでAD改善に寄与することが報告されているIL-10の産生量を調べるPPAとなる乳酸菌マッチング検査を70頭のcAD罹患犬において実施した。
その結果、ラクトバチルスパラカゼイを作用させた場合、IL-10量が最も多くなる個体が全体の60%を超える結果となることを報告した。さらに複数のラクトバチルスパラカゼイのライブラリーから、最もcAD改善効果を示すものを見出した。(菌株は特許申請中のため未開示)
(川野浩志,ペット栄養学会誌,25(2);111-113,202②)

<犬アトピー性皮膚炎に対する ケストースと ラクトバチルスパラカゼイ の臨床的効果>
Clinical effects of combined Lactobacillus paracasei and kestose on canine atopic dermatitis
本研究では、犬 の アトピー性皮膚炎に対し、 プレバイオティクス「ケストース」とプロバイオティクス「 ラクトバチルスパラカゼイ 」 の組み合わせによる アプローチにおいて、治療に使用するステロイド量とアトピー性皮膚炎の症状がどのように変化するかを調べる研究を行なった。
継続したステロイド治療において改善効果がみられないアトピー性皮膚炎に罹患している 犬15頭を対象に、ステロイドとの併用によりタブレットとカプセル形式にてプレバオティクス・プロバイオティクスを90 日投与し、投与前後でのアトピー性皮膚炎スコア、痒みスコア、ステロイド使用量などを検証した。
本研究により、プレバイオティクス「ケストース」とプロバイオティクス「 ラクトバチルスパラカゼイ 」は、 犬 の アトピー性皮膚炎の治療時においてステロイド量を軽減し、皮膚炎の症状を改善する 可能性が 示唆された。
(Kawano K et al, Polish Journal of Veterinary Sciences ,26, 2023)

エリスリトール

糖アルコールに分類される甘味料で、果実やキノコの他、ワイン・清酒・醤油・味噌などの発酵食品に含まれている糖質であり、食品添加物や砂糖の代わりに使われるなど、十分な食経験が積み重ねられた食品です。また、ぶどう糖やトウモロコシを原料として酵母を用いた発酵により生産されます。
ショ糖の60~70%の甘みを持ち、カロリーはほとんど無く、虫歯の原因になることもありません。血糖値には影響を与えず、インスリンの分泌を促進しないことがわかっています。

<口腔内細菌への影響>
エリトリトールは歯に優しい甘味料とされており、口腔内の細菌はエリトリトールを代謝できず、う蝕の原因にもならないことがわかっています。また、キシリトールと同じく、連鎖球菌に対して抗菌作用を持ち、歯垢を減らし、虫歯を防ぐ可能性があることが報告されています。

<犬の歯周病原因菌に対する抑制効果>
キシリトールは虫歯や歯周病の原因となる口腔内細菌の増殖を抑えますが、犬ではキシリトールは重い中毒症状を示すため、使用できないという問題があります。
そこで、エリスリトールの歯周病原因菌に対する効果を検証したところ、エリスリトールはキシリトールと同様に歯周病原因菌の増殖を抑制する効果があることがわかりました。
(Mamu S, et al,Heliyon,DOI:10.1016/j.heliyon.2022.e10224)

水素ミネラル(ハイドロマイト)

水素(は、原子番号1の元素(元素記号はH/原子量は1.00794)で非金属元素のひとつですが、元素としての水素の他に水素分子(水素ガス)H2、1個の陽子を含む原子核と1個の電子からなる水素原子、水素の原子核(ふつう1個の陽子、プロトン)など、様々な使い方がされています。
これまでの水素を使った実験結果から、水素が酸化ストレスを減少させる結果が共通にみられ,水素の直接的あるいは間接的な抗酸化作用が多数報告されています。(Huang CS, Kawamura T, et al., Free Radic Res,44,971-982,2010)
水素は、 他の抗酸化物質とは異なり、その化学的特性から, 細胞膜を容易に通過しミトコンドリアなどの細胞小器官に急速に拡散することができる点を挙げることができます。また、水素はガス状分子であることから 水素ガスの吸入 、水素水の経口摂取、水素生理食塩水の静脈投与、水素入浴などの水素の直接的な吸収および腸内水素を増加させるサプリメントの摂取など 摂取方 法が多彩である点も利点であることが報告されています。 (Ohta, S., Curr. Pharm. Des. 17: 2241-2252.2011)

水素を摂取する方法として、水素吸入、水素風呂、水素水、水素サプリメントなどがありますが、直接皮膚に作用させることが出来ない場合は、長時間の作用が期待できるものを選択することが重要です。

ハイドロマイト

カラマツエキス(高純度タキシフォリン・ビタロースト)

タキシフォリンは、フラボノイドの基本骨格の構造を有するポリフェノールの一種で、別名「ジヒドロケルセチン」とも呼ばれています。
これまでタキシフォリンに関して様々な研究が行われ、抗酸化、抗糖化、抗炎症、抗菌、抗血管新生、血糖上昇抑制、遺伝毒性、ガン、アルツハイマー病、乾癬、高尿酸血症、肺疾患、糖尿病、心疾患、動脈硬化症などの疾病に対する阻害作用など、数多くの薬理学的特性が報告されています。

<タキシフォリンに関する詳細情報>
タキシフォリンラボ https://sanoh-corp.jp/taxifolinlabo/

タキシフォリン

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