カワノメソッドとは

カワノメソッド(Kawano’s theory)は、アトピー性皮膚炎の犬や猫の飼い主さんが、薬を使わずにペットの痒みを和らげたいという願いから生まれました。
具体的には、次のようなことを行います。

  1. 「糞便移植(FMT)」:健康なペットから腸内の微生物を移植し、免疫系のバランスを整えることで痒みを和らげます。
  2. 「オーダーメイド乳酸菌アプローチ(Personalized Probiotic Approach)」:ペットごとに合った乳酸菌を選んで与え、腸内環境を改善して痒みを緩和します。

これらの方法は、痒みを和らげるだけでなく、アトピー性皮膚炎を根本的に治療することを目指しています。

  • 皮膚バリア機能の破壊(リーキースキン)によってアレルゲンが皮膚から侵入し、腸管粘膜バリアが破壊(リーキーガット)されて食物抗原が体内に侵入し炎症を起こす。
  • 口腔内細菌が腸管内や皮膚へ移行することで炎症を助長する。
  • 血管ダメージ(リーキーベッセル)が全身へ悪影響を及ぼす。
腸内細菌研究所

上記要因に対して、「カワノメソッド」では、皮膚、腸管、口腔、血管など、アトピー性皮膚炎に関わる要因全てにアプローチします。プレバイオティクス、プロバイオティクス、糖アルコールなどを使ったマルチモーダル治療を行い、Now(今)の痒みは免疫抑制剤を使って対処します。しかし、将来的(Future)には痒みの根本原因を治療し、免疫抑制剤に頼らずに症状を改善します。

この全方位から総攻撃するアプローチ方法により免疫抑制剤から解放され、可能なら卒業することを目指しています。

犬や猫のアレルギー性皮膚疾患に対するDr.川野の持論「カワノメソッド(Kawano’s theory)」であり、川野浩志(獣医学博士、日本獣医皮膚科学会認定医)獣医師によって2024年に提唱され一般公開されました。

腸管・皮膚・口腔・血管をターゲットにしたマルチモーダル治療

1.腸管バリア機能を強化する

腸管バリアの修復には、適切な栄養素を含む食事管理と腸内細菌のバランスを整えることが重要です。そのために、低温調理などで栄養価の高い食事を摂取することが必要です。

特に、アレルギーを抑制するIL-10というサイトカインを誘導することが証明された有効なプロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせたシンバイオティクス療法が効果的です。これによって、腸壁に住む細菌のバランスを整えることができます。

結果として、免疫を抑制しなければならない痒みが改善されます。

主要アイテム:乳酸菌、オリゴ糖(三糖類)

 

腸管

2.皮膚バリア機能を強化する

皮膚表面のブドウ球菌などの脅威に対処するため、抗菌薬に頼らずに静菌制御を行います。同時に、破壊された皮膚バリア機能を強化するために、塩水療法(タラソテラピー)やマグネシウム、亜鉛などのミネラル成分を組み合わせて使用します。これにより、皮膚の症状を改善することができます。

主要アイテム:エリスリトール、塩(タラソテラピー)、フィトンチッド、水素吸蔵ミネラル

 

 

皮膚

3.口腔バリア機能を強化する

動物が皮膚の患部を舐めることにより、口腔内の細菌が皮膚表面や腸管内に影響を及ぼす可能性があります。そのため、脅威となる口腔内のグラエ菌に対処するために、抗菌薬を使わずに有用な菌を保持しつつ、静菌制御を行います。

主要アイテム: 高濃度エリスリトール、クマザサ多糖体(TWEBS)

 

 

犬 口腔

4.血管バリア機能を強化する

アトピー性皮膚炎や他のアレルギーの原因の一つは、血行不良です。血行不良により、免疫や栄養が細胞に届きにくくなり、保湿に必要な成分であるセラミドが減少します。

そのため、血管の保護や血流改善効果があるカラマツエキスを使って、血管のバリア機能を高めます。これにより、アトピー性皮膚炎などの症状を改善するのに役立ちます。

主要アイテム:カラマツエキス末(水溶性・高純度タキシフォリン)

血管

改善症例